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2017年07月13日

7/7核兵器禁止条約が採択されました

今年の3月からニューヨークの国連本部で交渉が続いてきた核兵器禁止条約が、7月7日の交渉会議で、賛成多数で採択されました。
核兵器の開発、保有、使用等を禁止する国際条約が結ばれるのは初めてのことで、核廃絶に向けた道のりの中でも画期的な出来事と言えます。

エレン・ホワイト議長は全会一致での採択を提案しましたが、オランダが投票での採決を提案し、採決の結果、122カ国の賛成多数で採択されました。オランダ1カ国が反対したほか、シンガポールが棄権しています。オランダは米国の「核の傘」の下にある国々のなかで唯一交渉会議に参加しており、条約に反対した理由については「核兵器保有国の広い支持が得られていないうえ、NATO=北大西洋条約機構の加盟国としての責任とも矛盾する」と述べています。

条約の具体的な内容について、簡単に紹介します。(※)
第1条では、核兵器の開発、保有、実験、使用とともに、威嚇も禁止しています。
 この威嚇の禁止とは、「核兵器を使用する」とちらつかせることで相手国を脅迫する行為を禁じるものです。「核抑止力」の論理自体を否定するものであるため、核保有国や核の傘を前提とした安全保障政策をとる国々の将来の参加可能性を考慮して、5月22日に出された条約の原案からは外されていましたが、多くの議論の結果、最終草案で盛り込まれることになりました。
 第4条では、「核兵器を放棄してから条約に参加する」、「核兵器を保有している段階で条約に加盟し、期限を設けて核兵器を廃棄する」など、核保有国の参加方法についても記載されています。
また、締約国会議(条約発効から1年以内に開催、以降は2年ごとに開催)や再検討会議(5年ごとに開催)には、条約に参加していない国でもオブザーバーとして出席可能とされています。
18条では、「既存の国際条約との関係で加盟国が負う義務に影響を及ぼさない」とあり、本条約は従来のNPTと相反するものではなく、補完するものであるとしています。
また、広島や長崎の被爆者について、前文で「被爆者にもたらされた受け入れがたい苦しみと被害に留意する」「核兵器の廃絶に向けた被爆者の努力を認識する」と明記されています。第6条「被害者支援と環境回復」のなかでは、核兵器の使用や実験による被害を受けた人に、医療やリハビリ、心理面の支援を提供するとしています。
今回の条約締結において広島、長崎の被爆者が果たした役割は非常に大きなものがありました。南アフリカのディセコ大使は「最も心を動かされたのは、広島と長崎から被爆者を迎え、現実と向き合ったことだ。被爆者に対する私たちの責任を常に心にとどめていた」と述べています。

条約は今年9月から署名が始まり、50カ国が批准手続きを終えてから90日後に発効することになっています。
100カ国以上が加盟する予定ですが、アメリカ、イギリス、フランス、ロシアなどの核保有国や、日本を含む核保有国のほとんどが条約交渉そのものに参加しておらず、条約にも参加しない見通しです。
核兵器禁止条約が採択されたことを受けて、アメリカ、イギリス、フランスの3カ国が共同声明を出し、同条約に対して「国際的な安全保障の環境を無視している」「北朝鮮による核開発の深刻な脅威に対して何の解決策も示していない」と批判しています。

しかし、当然ながら条約に参加していない国に対しては何ら強制力を持ちません。国際世論を喚起し、核兵器の廃絶を後押しすることが本条約の狙いです。それを「核保有国と非保有国の断絶を深める」と核保有国側が言うのは、核廃絶を進める意思を持っていないことを自ら認めるようなものです。
そもそも核兵器禁止条約を締結すべきだという議論が始まったのは、NPT=核拡散防止条約が発効して以降も、核保有国による核軍縮がほとんど進まないという現実があるからだということに留意する必要があります。条約の締結国でないインドやパキスタン、脱退した北朝鮮などの国々が核実験を行うなど、むしろ状況は悪化しています。
アメリカ、イギリス、フランス等の核保有国は、今回の核兵器禁止条約の内容を非現実的だとしていますが、むしろ現実こそが、従来型の「大国間で核兵器を占有することを前提とした核軍縮」(この言葉自体が矛盾しているのですが)の破綻を示していると言えます。

ここで改めて問われるのが、唯一の被爆国である日本の行動です。
7日の条約採択後に、日本の別所浩郎(こうろう)国連大使は条約に署名しないと宣言しました。会見の中で、別所氏は「日本は核保有国と非保有国が協力する中で核兵器のない世界を目指している。この条約交渉は、そうした姿で行われたものではない」と述べています。
以前から、「核廃絶」を訴えながらも、アメリカの核の傘の下、核兵器禁止には慎重な姿勢をとってきましたが、昨年12月の核兵器禁止条約の交渉開始の決議採択において、「棄権」でなく、明確な「反対」に回ったことは、国際社会に大きな衝撃を与えました。
 日本が唯一の戦争被爆国として、条約交渉に積極的な役割を果たしていくことを期待していた多くの国々の、そして日本国内の人々の願いを裏切るものでした。
 核兵器禁止条約は、核兵器保有国や、今現在、核の傘の下にある国々の現実的な立場も踏まえ、そうした国々でも加入できるように考慮された文面になっています。
 今こそ日本政府は、条約への参加を表明し、保有国へ核廃絶を働きかける側へと大きく舵を切るべき時です。

※核兵器禁止条約の全文については、
https://mainichi.jp/articles/20170708/mog/00m/030/001000c(毎日新聞)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-07-09/2017070905_01_0.html(赤旗)
等を参照ください。
posted by 東京反核医師の会 事務局 at 16:11| Comment(0) | 時事ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする